5年ほど前に書いた雑文に多少手を入れて再掲載
ちょっとしたお遊びで「泣ける話」を書いてみようと盛り上がり
数話だけ書いたショートストーリー
その2のお題は「The Long And Winding Road」
これも記念に残しておきます
今となっては恥ずかしい思い出その2…
The Long And Winding Road by Uncle S
結婚式にたどり着いてしまった・・・・
最初は僕の望んだことだった。
彼女が結婚に同意してくれたのはプロポーズして1年も経ってから。
その間に引き返すチャンスは何度もあったのに、
闇雲に前進だけを続けてしまった。
女は何故こんなに変わってしまうのだろう・・
「今はあなたと結婚できない・・・」
とまどいと、希望の微笑みをキレイにブレンドさせて
気高く、僕の申し出を断り続けた彼女はもう何処にもいやしない。
結婚が決まってからは、長く辛く曲がりくねった道だった。
僕はUターンを何回も試みたが狭く曲がりくねった道で何度も崖から落ちそうになった
マンションのローンも組んだ、家具も彼女の好みだ
結婚式さえ私の意見は全て無視された。
あの気高い微笑みも今はない。
大型TVの前でお笑いを見ながら爆笑している別の生き物がそこにいた。
結婚式も洋装、和装両方を着ると言い、3回も着替えがえることになった。
文金高島田で顔が真っ白になった彼女の横に私は置物のように存在感無く座っていた。
来賓の挨拶が続いていたがほとんど私の知らない人だった。
来賓の知らない人が親しげに二人の名を呼んだ。
私たちは軽く頭を下げた。
その時、僕の顔の横で何か黒い大きなモノが落下したがそれはすぐになくなった
何事もなかったように。
来賓の話は続いていたが・・・・・
彼は僕たちを見ると困ったように笑いながら言った「縁起がよろしい」
そしてそそくさと話を終わりにした。
式場は少しざわついていた。
彼女の前に置かれていた「伊勢エビのオーロラソース掛け」がお皿から無くなっていた。
式場の係が目を見開いてこちらに走ってきた。
彼女の頭上には、長いひげの立派な伊勢エビが鎮座しオーロラソースがキレイに輝いていた。
それは誠にめでたい光景だった。
僕の長く辛く曲がりくねった道が、一瞬だけ平坦な一本道に見えた。
それが錯覚であったことはいうまでもないことだ
そのときの思い出だけを希望に僕は今もThe Long And Winding Road