10月末の某日、六本木。
六本木でアロハ気分の「Aloha Station」で待つ4人。
「夕方6時半には行くからね」の声に喜び勇んで出かけたが、今はもう8時半。一人帰ってしまいました。
お店のミーちゃんにも「しょうがないね」と慰められてしまいました。
9時になりました。その時、外で何か赤い人影が、もしや?
扉が開いて、やっと現れた派手な衣装「アンクル」だ。
「アンクル」上機嫌。5時頃からなぜか五反田で飲んでたもよう。
早速、日本酒の冷やを所望。私たちとの約束はすっかり忘れていた様子。
でもこんな事はハワイイでも良くあることで、
こんな時は皆こうつぶやくのだそうです。「That's アンクル」

皆が尊敬を込めてアンクルと呼ぶ「ジョージ・ナオペ」氏、78歳(と本人おっしゃってました) ハワイイでも数えるほどしかいないフラマスター。あの「メリーモナーク」 の創設者。ハワイイの人間国宝的存在。

このあとアンクルは「Aloha Station」のいろいろな席を回って挨拶をし、 日本酒を飲み、私たちのインタビューに答え、ステージで演奏をし歌い、 また日本酒を飲み、インタビューに答えるを繰り返し夜が更けても全く 元気は衰えませんでした。 写真を撮って良いか訪ねると、ちょっと待てといい、どこからか大きな指輪を 3つ4つ取り出す。すでにいっぱいしている指輪にさらに追加し、10本の指全部 が指輪になって準備完了。 すてきな夜でした。
さーインタビューが始まります!!!

「みんな誰を待っているんだ?」

─アンクルご機嫌はいかがですか、皆待っていましたよ!
”アンクル”ジョージ・ナオペ(以下アンクル):何で待っているんだ、みんな誰を待っているんだ?(笑い)。

─じゃ早速質問させてもらいます。フラはいつからはじめましたか?
アンクル:3 歳からです。最初に習ったのはママフジという名前でエディスカナカオレのお母さんにあたる人で、自分のおばさんにあたる人です。あまり一生懸命ではなかっ たのですが、12歳の時に先生が変わって、フラマスターのイララオレにまた教わり始めました。その後もたくさんの先生に習いました。そして1946年に初 めて自分のフラスクールを持ちました。

─初めは何人から教え始めたのですか?
アンクル:10 人からです(笑い)。10人からスタートしたものが、200人ぐらいに増えました。200人は大きなクラスです。でも、自分は小さなクラスが好きなのでそ の後人数を減らしました。小さなクラスだと、生徒が覚えるのも早いし、私もみんなに目が届くから自分は小さなクラスの方が好きなのです。日本でも、1クラ ス100人とか200人を教える先生がいるけれども、それはあまり良いことだとは思わない。なぜなら、生徒が習っているところをすべてを見ることができな くなってしまうから。これはいつも言うことなんですけれども、「生徒がいいということは、先生もいい。生徒が悪いところは、先生も悪い」そう思います。

─あなたはたくさんのクムフラに教えていると思いますが、その方達を簡単に紹介してもらえますか?
アンクル:そうですね、たくさんいますね。ジョニーラムホーとか、チンキーマホエ、アロハデリレイ、イバラニカリマ、レイフォンセカ等々。皆メリーモナークの様々なクラスでチャンピオンを取っている人たちだよ。ただ、私はジャッジはしていないけどね(笑いながら)。

「Hula is Hawai'i」

─メリーモナークの話が出たので、メリーモナークを作ったアンクルに質問です。メリーモナークはどうして始めたのですか?
アンクル:ヒ ロ(ハワイ島)にはその当時(1964年頃)何もなく、何か町おこしみたいな形で始めることができないかという相談を受けたのです。その時に、「Hula is Hawaii.」という言葉を使っているんですけれども、フラというのはハワイの文化だし、キングカラカウアと言う人が、西洋文化からフラをハワイに戻し てくれた、それを称えてメリーモナークフェスティバルを始めようと思いつきました。

初 めてのメリーモナークフェスティバルではカヒコ(古典フラ)をちゃんと踊れる参加ハラウはたったの三組だけでした。というのは、その当時、ハワイイは文化 の継承がきちんとなされていなくて白人文化に侵されていたんだ。だからフラといえば白人が作った音楽に合わせて踊るアウアナ(近代フラ)ばかりだったん だ。私は何とかハワイイの文化を復活させようと、その後数年間は、カヒコのテープを各ハラウに送って、指導したんだ。だからその当時は40チームの人たち が同じ与えられた曲を踊っていました。今年でメリーモナークフェスティバルは42回目を迎えます。今ではいろんな人がいろんな大会をやっています。私もケ イキフラを始めました。クプナフェスティバルもそうです。モキハナフェスティバルもそうです。

─アンクルが始めたメリーモナーク、始めは小さな大会だったのが、今はこんなに大きくなってしまって、それについてアンクルはどう思ってますか?
アンクル:もちろん私が始めた大会なんだけれども、それは、ハワイイのためにスタートさせた大会なんだ、でも、今はもうハワイイだけのためではなくて、世界にフラを広げるという意味で大きくなったことを大変喜んでいます。

─アンクルは今でもフラを教えていますか?
アンクル:イエー!(明るく言っています)

─どこで教えてますか?
アンクル:ジャーマニー、日本、スイス、オーストラリア、グアム、たくさんのところで教えているよ。

─ハワイではどうですか?
アンクル:ハワイではヒロで教えています。(ヒロはヒロでもタケノウチではないよって。タケノウチヒロというお知り合いがいるようです)(笑い)

─ちょっと質問を変えて、皆が思っているのですがアンクルはなんでそんなに若いのですか?
アンクル:(笑いながら)そんなこと無いよ、おじさんだよ(おじさんは日本語で言ってます)
(その後にコップに注がれている日本酒を持ち上げて)聖なる水が僕のことを守ってくれているんだよ。


「日本人は家でもちゃんと練習する」

─日本のフラダンサーについてはどう思いますか?
アンクル:I think wonderful.日本ではたくさん年配の人がフラを習ってますけど年配の人にはすごくいいことで、それは何でかというと、フラは踊るだけで、エクササ イズにもなる。ダンベルもいらないし、すごく体にいいよ。


クプナフェスティバルでは、91年、93年、94年、96年とすべてハワイの人たちに混じって出場した日本の女性がクプナフェスティバルで優勝していま す。そういう結果を受けて、ハワイの人たちはアンクルどうして日本人がそんなに勝つのという質問をしてきます。その時、私はこう答えるのです。「すごく簡 単なことだよって。それはね、日本人はうちに帰ってからちゃんと練習しているから勝てるんであって、ハワイの人たちはうちに帰るとビールを飲んでテレビを 見ているだけでしょって」。
あるハワイアンと一緒に日本で電車に乗った時に、(アンクルが、ハンドモーションだけをしながら)そのハワイアンの人が、あれは何やってるのって日本人の 女性を見ていったんだ。私は、あれはフラの練習をしているんだよと教えてあげたんだ。そこまで熱心にできることが日本人の勤勉さで、それが大会で勝つ理由 だと思っているんだ。

─ 練習をしても、すればするほど、逆に壁に当たっている人が日本人の中にはたくさんいて、ハワイイの文化であるフラを練習すればするほど、自分たちが日本人 であるということに気付かされている人もいます。そういうこともふまえて日本人のダンサーに何かアドバイスがありますか
アンクル:そ んなの関係ない。何の問題も無い。例えば日本人が踊る時には(ラブリーフラハンズという歌を歌いながら)こういう風にやさしくできるけど、白人がやるとす ごく粗野に踊ってしまう。そういう意味でも日本人はとてもいいよ。なぜ日本人がいいかと言うと、日本舞踊というのは、非常にフラに似ていて、表現方法がす ごく日本人に合っているのではないかと思っているんだ。
言葉に関しても、日本の言葉とハワイの言葉はすごく似ている。


例えば、あるハワイイの人が私に言ったんだ。「Aloha」のLの発音を、日本人はRの発音に近い言い方をすると。そういう時にはハワイイの人に逆に私は 言うんだよ。「あなたのほうが逆にハワイイのことを知っていないと。西洋文化が浸透するまで、というよりも白人に支配される前までは、ハワイイの人たちも Rの発音を持っていたんだよと。ハワイアンのハワイアン文化である言葉が乱れてしまったのは、すべて白人のせいだと。それは六本木が不良外人に壊されてい るのと似ているね」と。日本人がRとLの発音が出来ないのは別の話かもしれないけどね(笑い)
(このあと白人が及ぼしたハワイイへの悪影響をかなり辛辣に言っていましたが、ここでは掲載不可能ということでご勘弁を)


「Aloha means love.」

─私たちは聞いたことがあるんですけれども、山の神であるペレが怒って起きる火山活動を沈めに、あなたが祈祷に行ったと聞いたことがあるのですが、それは本当ですか。行ったことがあるんですか。
アンクル:私はハワイの習慣に則ってそういうこともしたことがあります。私は思うのですけれども、習慣の無いところには文化は生まれないと思います。


(こ の日のインタビューは六本木のアロハステーションで行っています。お客さんはアンクルのパーティーということで来ています。アンクルのステージの前にイン タビューさせてもらっているので、みんな待っているから最後の質問ねというと、それでもまだアンクルは話し足りないようで、誰がそんなに待っているんだい といっています。)

 

 

 

─最後にAlohaという言葉の本当の意味は何でしょうという質問をしました。
アンクル:Alohaの意味って言うのは、Aloha means love.「愛」だよ.
ただAlohaという言葉にはたくさんの意味が含まれている。例えば、こんにちはとか、おはようとか、愛してるよとか、そんな意味がたくさん含まれていま す。そしてAlohaっていう言葉は、ハワイアンにとってはとても大事な言葉です。ただ、Alohaという時に最近、よくアローハ!とこう声を張り上げて 言う人がいるけれども、彼女に愛してるよって言うのにそんな大声を張り上げないでしょ。やさしくささやいてI love you.って言うでしょ。Alohaというのはそういうことだよ。

日本人はすごくとっても美しい人たちです。本当に美しい人たちです。ただその中でも一番危ないのはフラの先生(にやりと笑って)。もう話してばっかりで、 こうしなさいああしなさいといろいろ話す。でも私の先生だった人は一切話をしませんでした。話は必要が無いんです。なぜかというと、フラにはいろいろなス タイルがあるし、あなたが何を感じているのか、その時、私はどんな感じがしているのかということを考えてくれればそれでいいのです。もしそういう風に感じ る事が出来なかったら、あなたのフラはあまりよくないものになるでしょう。

「オリは心からあげる言葉」

─(最後の質問が終わって、じゃあね、またねっていう挨拶をしている時にアンクルがオリといって、お祈りみたいなものがあるんですけれども、それを言って くれた時に、私たちは、アンクルのオリのスタイルはすごい好きだよって話をして。通常オリっていうのは結構声を張り上げてやるんですけれども、ささやくよ うな感じのオリをするのが、アンクルのオリの特徴で、そのスタイルが好きだよと言ったら、)
アンクル:オリというのは心からあげる言葉なんだよ。(喉を指して)ここから出るものではなくて、(胸を指して)オリというのはここから出てくるものなんだよ。

そのあとステージに向かったアンクル。
楽しそうに歌い演奏を行っていました。そして片時も聖なる水を放すことはありませんでした。

取材協力
六本木アロハステーション

東京都港区六本木7-17-14六本木コーポ1F
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