ハワイ取材の第3弾!
日本でもファンが多いハワイアンキルト。
オアフ島カイルアにハワイでも著名なハワイアンキルターMary Cesarさんを
訪ねてお話を伺いました。
Maryさんは日本にも度々いらっしゃっていて、生徒さんも大勢いらっしゃいます。
ハワイアンキルトについてたっぷりお話をしていただきました。
とてもキュートでユーモアたっぷりのMaryさん。
ハワイアンキルターの方は8011web.com初めてのインタビュー。
キルトファン必読です!!
お土産に、ちょうど作っていたカレーパウダーをいただきました。おいしかったです。
-現在どのようなことをされているのか教えてください?
Mary Cesar:今は昨年
11月に開催されたフラ・カンファレンスで残ったイプ・ヘケのバッグを作っている最中なの。でも、今は、カレーパウダー作ってたのよね!(爆笑)(私たち
がおじゃました時ちょうどカレーパウダーを作っていて、後でお土産で頂きました。)
実は、私は、現在は販売用のキルトは作っていないの。クラスで教えるためのサンプルだったり、パターンを作ったりしているの。たまに作ったものを売ったり
している程度で、キルト販売は今の私の仕事じゃないのよ。デザインやパターンを描いて、教えるのが私の仕事になるわ。できるだけ自分でも作りたいとも思っ
ているんだけど、今は私の生徒の方がたくさん作っているわね(笑)。
-ハワイアンキルトの起源を教えていただけますか?
Mary:ハワイアンキルトがいつ
始まったのかは正確にはわからないのだけれど、1820年に宣教師がハワイに来るようになって、その頃からハワイアンはキルトを教わるようになったと言わ
れています。当時の摂政(クヒナヌイ)であったカアフマヌが、彼女と王室関係の女性を数名連れて船に乗った時、宣教師の女性達が着ていたキルトのドレスを
見て、同じようなドレスが欲しいと思ったのよ。それで、宣教師の女性たちが、カアフマヌのために縫い始めたんだけれど、彼女たちが忙しくて縫えないことも
あったので、王室の人たちにシンプルパッチワークを教えるようになったの。 だから、キルトが最初に作られたのは宣教師がハワイに来てすぐだったのよ。
彼らが持ち込んだのは、おそらくベーシックなパッチワークで、洋服を作った時の残りの端切れを使ったりして、ブランケットを作ったりしたんだと思うのよ。 ハワイには端切れがなくて、ただ大きなタパや布1枚をまとっていただけだから(笑)。あるストーリーでは、ハワイアンは「あんな布をあわせて縫い合わせる なんてバカげてる!」って思ったっていう話しもあるのよ。でも、それがまさにキルトなのよね(笑)。
別の有名なエピソードでは、ある日女性達が、ウルの木の下でキルトを作っていたら、一人の人が地面にウルの影が映し出されるのを見て、家に帰ってから、そのパターンを切って作ったっていう話しよ。
アメリカから宣教師が来る前にも、たくさんの船乗りや捕鯨船員、貿易商人 がハワイに来ていたけれど、ほとんどがドイツ人だったの。そうした船乗り達は、海の上の時間が長かったから、洋服の縫製なんかも自分でできたのよね。だか ら、アメリカの宣教師達が来る前も、ハワイアン達も少しは縫製の仕方がわかっていたと言われているわ。おそらくその船乗りたちが基本を教えたのではないか しら。
また、そのドイツ人たちが、ドイツのペーパーカッティングを教えたのではないかとも言われているわ。というのも、ハワイアンのペーパーカッティングのやり方ってとてもユニークだって言われているからなのよ。
-アメリカ本土のキルトとは違い、ハワイ独自のものができていると思うのですが、いつ頃からハワイのスタイルができたのでしょうか?
Mary:それは誰
も知らないのよ。古いキルトの中には、1800年代後半のものがあるし、現在博物館などに残っているキルトのほとんどは、1900年前半に入ってからのも
のなのよね。1890年-1910年頃のものかしらね。私たちには正確な年というのはわからないのよ。なぜなら昔は、家族に残すという遺言がなかったら、
亡くなった時に、遺体と一緒に全て焼いていたの。だから、焼かれてしまったキルトも随分あると思うの。洋服のような遺留品も一緒に焼いて、その人の魂に安
らかに休んでもらおうという考えだったのよね。
-また、まさかこんなにハワイアンキルトが人気になるなんて想像もしなかったでしょうしね(笑)。
Mary:そうね(笑)でも、現存しているものもあるのよ。ただ、残して欲しいと託されたもの以外は焼かれてしまったと思うわ。
-ハワイアンキルトの一番わかりやすい特徴というのはなんでしょうか?
Mary:基本的に2色で、全体にデザインがあるものになるわ。
すごく参考になるカレンダーがあるからお見せするわね。
(2008年のハワイアンキルトのカレンダーを見せながら)この中には、トラディッショナルスタイルもの、コンテンポラリー(現代風)なものと両方があるの。
キャシー中島さんの作品もあるわ。手染めの生地2枚のみ使って作ったものや、多色でたくさんのアップリケを使ったものもあるわ。多くの人が、たくさんの色
を使ったものはコンテンポラリーと思っているけれど、実は違うのよ。古いキルトにもたくさんの色を使って作られたものがあるのよ。多色使いということが新
しいものということではないの。また、プリントを使ったものが新しいものということでもないのよ。古いキルトの中にも小さなプリントが入ったものもあっ
て、単なる無地のものだけではなかったの。
-時とともに進化していっている感じですね。
Mary:そういうことになるわね。
-ハワイアンキルトの魅力は何でしょうか?
Mary:そうね、何になるのかし
ら?私はたまたまハワイアンキルトの講座を受けたことがあったのよ。ある時私が家のカーテンを作ることになって、「ハワイアンキルトのデザインにしたら素
敵ね」って思って、それでクラスを受けたのよ。だけど、結局カーテンが出来上がることはなくて、ハワイアンキルトを作っていたの(笑)。
-きっかけはカーテンを作ろうと思った事から、今やハワイアンキルターとして有名になり、日本にも行くようになるとは想像していましたか?
Mary:全く想像していなかったわね(笑)。私が始めたのは1981年なの。
-ということは、24,5年前ですね。
Mary:(計算してくれて)ありがとう(笑)。私は日本に行くと必ず高田馬場に宿泊するんだけど、そこにはたくさん小さなバーやお店があって楽しいのよね。生徒の中には私が始めた頃まだ生まれてなかった人もいるし、中には私の娘より若い子達もいるのよね(笑)。
-ハワイでのハワイアンキルト事情はどうなのでしょうか?
Mary:以前私は、Mission Houses Museum で教えていたんだけど、昨年は忙しくてできなくて、今年スケジュールがあえばまたそこで教えたいと思っているわ。あとは確かじゃないけど、John & Poakalani Serrao(http://nvo.com/poakalani)
が、いまでもロイヤル・ハワイアンショッピングセンターで教えているはずよ。今はセンター内が工事中で、それが影響していて人が減っているって聞いたけ
ど、でも、また元に戻ると思うわ。あとは、多分毎週水曜日朝9時からQueen Emma Summer Palaceでは、Gussie
Bentoのクラスがあって、確か5ドルの寄付で受けられるはずよ。素敵な心の持ち主よ。Nuuanuにあって、とても行きやすい場所だわ。
-たくさんのロコの人たちも習っているということでしょうか?
Mary:そうよ。それらのクラスでたくさんのロコの人たちに会えるわ。Gussieのクラスはとてもフレンドリーで、ビジターの人たちを大歓迎してくれるわよ。 John達ももちろんフレンドリーよ。またNalani Goard(http://hawaiianquilting.net/)
は、日本でもよく知られていると思うんだけど、パールシティーでプライベートレッスンをやっているわ。もし彼女のクラスをとりたかったら予約が必要になる
わね。
また、私も彼女のように、プライベートレッスンをやっているの。日本人の生徒さんもいるのよ。ハワイでレッスンを受けたいならば、家に来てもらえれば、プ
ライベートレッスンができるのよ。
-ご存知のように、日本でもハワイアンキルトが人気になってきているわけですが、その日本のハワイアンキルト事情はどのように思われますか?
Mary:素晴らしいことだと思うわ。私はデザインのクラスをやるんだけれど、とても創造力に溢れている生徒さんがいるわ。例えばこの中にも(先ほど見せてくれたカレンダーを取り出し)これは日本の私の生徒さん(Kanayamaさん)が作ったものなのよ。
生徒というより友達なんだけど、彼女は30年近くアメリカンパッチワークを教えているの。 この作品を見てみると、アップリケのパターンを2重にしているのがわかるわ。ここの下のところに、影のレイヤーがあるでしょ。これは本当に革新的なものになるわ。
またこっちの人のも(違うページをみせる Maedaさん)、3次元になっていて、後ろに影を作ってあるでしょ。生地も手染めなのよ。
このカレンダーの作品に使われている生地のほとんどは、私の友達でもあるアメリカ人のアーティストが作ったものなのよ。こっちのキルトは(また違うページ をみせる)、ハワイアンスタイルとは全く違うのよ。これは私が教えた人の生徒さん(Takeuchiさん)が作ったもので、
これはビクトリアキルトとハワイアンデザインの組み合わせなのよね。こうした日本人の方々の作品の質は本当に素敵だと思うわ。
ただ今まで見てきて、一つだけ残念なのが、とてもライバル心が強くて、秘密主義なところね。皆バラバラで、先生同 士が、「一緒にやりましょう」っていうのがないのよね。 ハワイだと、とても小さな島だし、キルトイベントとなったら、私たちキルターは絶対顔をあわせるのよね(笑)、だから、共生関係であったりするんだけど、 普段は皆とても仲がいいのよ。例えば、私が、先生の仕事を打診されて、どうしてもスケジュールがあわなくてできないっていう時は、他のキルターの人たちの 名前を出して、その人たちができないか聞いてみてって言うの。こうした他の人に譲るっていうのが日本には見られないのよね。
また、日本の先生達は生徒さんを抱え込んでしまっているのを時々見かけるわ。全部の生徒さんが、その先生と相性が あうとは限らないのよね。私だって、全部の生徒さんにとって、ぴったりくる先生とは言えないもの。 だから、時には、生徒さんを自由にして、その生徒さんとぴったりあう先生が見つかるようにしてあげるべきだと思うの。それでいいのよ。
前に生徒さんに、2つのコンテンポラリーのパターンを教えたんだけど、その後に、その生徒さんたちをNalani やGussiのところに行かせたの。こうして他の先生のところにやっても、生徒は前に私のところで何をやったかを覚えているから、自分にもっとあうものを 自分で判断できるのよね。そうやって自分で判断させる方がいいと思うの。
-今日こうしてカレンダーなどを見せてもらいながらお話しを伺い、キルトをやらないものから見ると、全て
がトラディッショナルなハワイアンキルトかと思っていたら、どんどんと変化をしているものとわかりました。こうして新しく変化していくべきものなのか、そ
れともトラディッショナルなものを受け継いで行くべきなのか、どちらだと思いますか?
Mary:どちらも必要だと思う
わ。トラディッショナルだけをやっている先生もたくさんいるしね。でも、生徒さんの中には、それだけだと飽きてしまう人もいると思うのよね。私はコンテン
ポラリーなものが好きだけど、これらもハワイを表現しているし、ハワイアンスピリットがちゃんとあるのよ。
そして、限界をおしあげるの。それだけでなく、今私たちがもっているもので、何ができるかに挑戦することにもなるの。
例えば、手染めの生地がたくさんあったらそれをどう使うか。トラディッショナルなハワイアンキルトというものはたくさんあるけど、その一つに、白糸を使 うっていうのがあるの。昔は白しかなかったのよ。もし他の色があったら、使っていたと思うけどね。例えば、白地に赤いアップリケをつけるっていうのも、ト ラディッショナルと考えられているわ。白っていうのは簡単に手に入りやすい生地だったのよね。そして、貿易商が船に乗って旅していた時、トルコで赤い生地 を手に入れて、それが世界中で一番人気の色になったの。貿易商が持ち込むものがその時の最先端の流行になったのよ。
こうして、ハワイでも、主に白と赤の生地が持ち込まれたの。つまり、トラディッショナルと言われているもの の多くが、実は、その場で利用できるものから広がっていったものなのよね。 だから、私は生徒さんに言うのだけれど、もしトラディッショナルなものを作りたいのであれば、どこかがオリジナルでないとダメよって言うの。「オリジナル を作ることを怖がらないで、今日オリジナルなものが、明日には"トラディッショナル”になるかもしれないんだから」ってね。
-日本でハワイアンキルトを勉強している方が、ハワイで見たい場合は、どこに行けば、良いものが見られますか?
Mary:年に一度5月の母の日あたりで、Lilnekonaでキルト展示会が開催されるから、それもおススメね(http://hawaiiquiltguild.org/) 。Bishop Museum(http://www.bishopmuseum.org/)なら常時いくつか展示されているわ。是非ハワイに来る前にインターネットで展示会がないか調べてみて。
あとは、Gussi Bentoのページもチェックしてみるといいわ。Mission Houses Museumも時々展示会をやっているはずよ。オアフでも、常時ハワイアンキルトが展示されている場所っていうのはないと思うわ。私も知るべきなんだろう けど、他の島も、そうね、もしかしたら、カウアイ島のどこかの博物館ならあるかもしれないわね。でも、確かじゃないわ(笑)。
-日本でハワイアンキルトをやっている方々へ上手くなるコツがあったら教えて下さい。
Mary:日本のクラスのやり方に
反しているかもしれないけれど、できる限りたくさん違う先生のクラスをとるといいわ。私が今までやってきてすごくよかったのは、例えば、Nalaniが重
要とするポイントと私のは全く違うの。でも、それが彼女にとっては効果があったのよね。生徒ももしかしたらそういう方法がいいかもしれないでしょ。
先生が思うベストの結果を教えてもらったら、その方法をやってみるといいわ。例えば、いつも習っている先生のやり方に80%納得いっていたら、あとの 20%は他の先生から習ってそれを借りればいいのよ。これはテクニックではないの。テクニックは確かに手助けにはなるわ。でも一番重要なのは、最後の仕上 がりの結果なのよね。いくらテクニックがよくても、仕上がりが同じだったら、誰があなたの使ったテクニックのことなんて気にするかしら?個々に自分のもっ ている技術やトリックを使って、最高のものをしあげるといいわ。
ハワイのことわざに" 'A'ohe pau ka 'ike i ka halau ho'okahi."というのがあって、”一つの学校で全ての知識を学ぶ事はできません”という意味なの。私もハワイアンキルトのマスターなんて呼ばれる ようになったけれど、今でもクラスをとっているわ。カリフォルニアに5日間の休みをとって行ってくるのよ。私も常にアイディアが思い浮かぶように学び続け ていないとなのよ。
-どうやってアイディアのインスピレショーンを受けるのでしょうか?
Mary:どこでもよ。例えば、道
を歩いていて見える景色からよ。建築物を見て思い浮かぶ時もあれば、バッグのデザインや、床のタイルを見た時という場合もあるわ。だから私が旅行で撮った
写真って、奇妙に思う人もきっといると思うわ(笑)。デザインのために写真を撮るから、トイレの床のタイルが写ってたりするの(笑)、デザインはどこにで
もあるのよ。
-日本にいるMaryさんのファンの方々へメッセージをお願いします。
Mary:まずは、「ありがとうございます」。いつも私のクラスをとってくれて本当に感謝しています。皆さんとのクラスをとても楽しんでいます。また、年に1回3日間のワークショップを開催することになったので、それも楽しみにしています。
-最後に、Maryさんがお住まいのカイルアのおススメの場所を教えて下さい?
Mary:朝食だったら、
"Boots & Kimo's"がおススメね。マカデミアナッツソースのパンケーキ
やシナモンがおいしいの。あそこのシナモンは朝食にいいわよ。プレゼントを買う場合は、ロコの人にも観光客の人にもおススメなのが、"Island
Treasures"。ロングスの前にあるんだけど、お店が並んでいて、その中のアートギャラリーになっているところよ。地元のアーティスト達のものが、
お手頃な値段で売っているのよ。 10ドルぐらいから高価なものまであって、私は結婚式だったり、単にお土産を買うのでもいつでもそこに行くわ。
あとは、洋服だったら、Manuheali'iね。それとビーチの後のスナックだったら、Lanikai Juice。あそこのアサイボウル(Acai
Bowls)のExtravaganzaがおススメよ(笑)。
-ありがとうございました。
2008年1月 ハワイにて
通 訳:村田実紀
聞き手:Kaimanahila
Mary CesarさんのWebsiteはこちら→http://www.marystreasures.com/

