ロバートさんは三回目の登場。いつも楽しく厳しい話を聞かせて下さいます。
そして今回は "ハーラウ・ナー・カマレイ "のベテラン、ブリさんとカリコさんもご一緒です。
以前から生徒の方々はクムのことをどう見ているのか興味がありましたので、楽しみな対談となりました。ブリさん、カリコさんとは10年近いお付き合いなので、和気あいあいと思いましたが、
クムの前で前半は緊張気味・・・・・ロバートさんの偉大さをあらためて認識しました。
今回の対談、日本の方にはかなり厳しいお話も出てきました。
しかし、これも彼らが本気でハワイの文化であるフラを守り伝えたいからだと思います。
フラに対する考え方、思いは人それぞれですが、フラを教える指導者の方、ハワイの文化としてのフラを真剣に学びたい方には是非、読んでいただきたいと思います。
【プロフィール】
Robert Cazimero(ロバート・ウルヴェヒ・カジメロ)
師であるマイキ・アイウ・レイクからの教えを忠実に守り、ハーラウ・ナー・カマレイを主宰、
ハワイ文化の継承に努めている。
ミュージシャンとしての活動も有名で、ザ・ブラザーズ・カジメロとして、「ハワイアン・コンテンポラリー」という新しいハワイ音楽を創造、数え切れないほどのヒット曲を生み出し、
数々の賞を受賞している。
ハワイ、日本、世界、フラを踊っている人でこの人を知らない人はいないといっても過言ではない。
Keola “Bully” Makaiau(ケオラ・ブリ・マカイアウ)
1989年よりハーラウ・ナー・カマレイのメンバーとなる。
日本公演で多くのファンと会い、これをきっかけに日本語の勉強も始めた。日本酒が大好き。
Kyle “Kaliko” Chang(カイル・カリコ・チャン)
1986年にフラを始め、1992年にハーラウ・ナー・カマレイのメンバーとなる。
日本公演にも多数来日し、口数は少ないが温厚で、一緒にいるとほのぼのとした気持ちにさせてくれる。
Halau Na Kamalei(ハーラウ・ナーカマレイ)
ロバート・ウルヴェヒ・カジメロ氏が主宰するハーラウ。
1975年6月11日設立。今年でハーラウ設立33年目迎え、ハーラウとしては、活動30周年記念として出場した2005年のメリーモナークフェスティバルで総合優勝を収めた。
「ハーラウは家族」
-ロバートさんには何度かインタビューさせて頂いていますね。今回は生徒のお二人、ブリさんとカリコさんも交えて、ハーラウ・ナー・カマレイについていろいろお聞きしたいと思います。
Robert Cazimero:もちろんどうぞ!もし私が答えられなかったら、彼らが答えてくれるはずです(笑)。
-では、最初に、ハーラウ・ナー・カマレイの歴史を教えてください。
Robert:はい、ハーラウ・ナー・カマレイが始まったのは、1975年の6月11日で、その日は"Kamehameha Day"で、ホノルルではカメハメハ王をお祝いする祝日になります。この日が、初めてハーラウとして踊った日です。
カメハメハスクールに通っている6人の高校生の男の子達が生徒として踊ったのですが、自分達の踊りには全く満足できませんでした。それから33年経ったんだよね?!
Bully&Kaliko:はい、33年です。
Robert:6人の男の子達から始まったわけですが、そのうちの1人はオペラ歌手となって、今はヨーロッパに住み、もう1人は、カリフォルニアの保険会社に勤め、2人はすでに亡くなっていて、Veto(カール・ヴィト・ベーカー)は、自分のハーラウ(ハーラウ・イ・カ・ヴェキウ)をもつようになり、Charles Padua はラスベガスに住んでいます。
-現在は何人の生徒さんがいらっしゃるのですか?
Robert:ちょうど新しいクラスが始まったばかりで、その子達が入った事により30人ぐらいになりました。クラスは満杯です。
-日本だと「教室」といった感じで、毎月生徒さんが月謝を払って運営しているわけですが、ロバートさんのハーラウはどうやって運営されているのでしょうか?
Robert:私のハーラウも学校という感じで、「クラス」があります。でも、クラスは一つだけで、全員がそのクラスに参加する形になっています。週1回のクラスになりますが、誰もお金を支払うということはありません。なぜならば、私が、(伝説的な)クム、アンティ・マイキのレッスンを受けていた時、一度もお金を支払った事はなかったからです。
彼女は「男性がフラを踊るというのは、とても名誉なことなんです」と言っていました。 かつて私が支払っていなかったのに、生徒に支払いを求めることはできません。だから、私は大きな家も持っていないし、大きな庭や3台の車なんて持っていたりしません(笑)。もし男性を教えるとしたら、お金儲けにはならないですよ(笑)。 男性は、フラのためにお金を払いたいとは思いませんからね(笑)、女性は払いますけど。だから、女性に教えればお金儲けはできます(笑)。
幸い私にはミュージシャンとしてのキャリアがあるので、それでなんとかやっていけますし、もしお金が必要となれば、皆でファンドレイザーをやります。私は、衣装にもお金を払ったことはありませんでした。クムが全部手作りであつらってくれたからです。衣装やレイ、また、メリーモナークに行く時に必要な旅費などはファンドレイザーをやって集めるんです。
-ロバートさんにとって、ハーラウはの生徒はどのような存在ですか?
Robert:皆、家族みたいですね。恐らくほとんどのハーラウが、クラスがあって、それにきて練習して、レッスン料払って終わり、という感じだと思うのですが、私の生徒になった場合、家族の一員として、まず私の兄妹たちに紹介をし、一緒にパーティーをやって、食べて飲んで笑ってといったことで楽しみます。なので、私たちは、先生と生徒というより、家族に近いのです。
-それでは、家族である生徒のお二人ですが、プロフィールを教えてください。
Bully:(横顔を見せて笑いを誘う。注:英語のprofileは、「横顔」という意味)私は、オアフの北部のパウマルという小さな町で生まれ育ちました。カメハメハスクールを卒業し、クムのもとでフラを始めたのは1989年になります。
-ほぼ20年ですね。
Bully:はい。フラは今までやってきたもの中で一番だと思っています。自分にとてもあっていて、自分達の文化に戻ることができ、先ほどクムも言っていたように、大家族の仲間入りできたからです。僕は小さな家族で育ち、兄弟も1人しかいません。それが今では30人の兄弟がいます。大きな違いがあります。
Kaliko:私は1992年にクムのところでフラを始めました。その前は、ジョン・リー のもとで踊っていました。彼もアンティ・マイキのファミリーラインになります。
覚えているのは、私が初めてハーラウに招待された時、クムが「あなたたちをハーラウに受け入れるという事は、一生涯の事になります」と言いました。それはつまり「家族」ということであり、深いつきあいになるんだなと感じました。
クムは、いろいろな事の価値を教えてくれ、お互いを尊敬しあうことを教えてくれました。人前で踊ることは、最初誰でも緊張しますよね?!その時の自信の持ち方なども教しえてくれました。文化についても学んでいます。本当に僕たちは、大きな「家族」みたいなものなんです。
「Aloha mauloa」
-クムは一言で言うとどのような人ですか?
(2人とも質問にどう答えたらいいかと思案していると、クムが、自分の身につけているネックレスやブレスレットを外して、あげるそぶりをし、皆で大笑い)
Bully:一言ですか…?
Kaliko:二言でもいいんじゃない?!
Bully:そうだよね、二言でもいいよね…。そうですね、私にとってクムは、親以上であり、先生ですね。それと…、
Robert:いまので二言だよ(笑)。
Bully:彼が、三言でもいいって言ったんですよ(笑)。
Kaliko:三言でもいいんです(笑)。
Robert:OK(笑)。
Bully:彼は、親であり、先生であり、そして、お手本となる人です。
-厳しいですか?
Bully:そういう時もあります。でも、たいていがとても穏やかな方です。とてもいい先生です。
Kaliko:ハワイ語でAloha mauloaという言葉があり、それは「無条件の愛」という意味になります。彼は、その無条件の愛を私たちに与えてくれています。彼は練習の時にはとても厳しいですが、それ以外ではとても優しいです。
-ロバートさん、今のお二人の話しを聞いてどう思われますか?
Robert:初めはちょっとナーバスになっていましたが、今はもう大丈夫です(笑)。
というのも、私は常に生徒に対して、正直であろうと努めてきました。それが、ちゃんと伝わっていたのがわかったからです。私から学んで欲しいと思っていた事を彼らがちゃんと学んできてくれたからです。
また、この2人は、長年私のところにいるので私の事をよく知っています。どうすれば私を怒らせないかも知っていて、どうすれば私が喜ぶかも知っています。なので、この2人に頼ることができるんです。例えば、今朝も6時に2人のところに電話したんです。2人ともまだ寝ていました(笑)。
Bully:それから、6時15分にかかってきて、次に6時20分にまたかかってきました(笑)。
Robert:「ショーでこの曲をできるか?」って聞きたかったんです。「僕たちは長い間その曲をやってきているから大丈夫です」と言われました。もちろん私はその事を知っていました。でも、電話を切った後、2人で考えて、話し合ってもらい、その答えが出たら私のところに言ってくるようにしてもらい、彼らが「できる」と言ったので「やってみよう!」ということになりました。
私たちは、このような「信頼関係」をもつ事が大切だと思っています。特に、こうやってカリフォルニアや東海岸、またここ日本などを旅をする時はなおさらです。
写真:4月11日「ロバート・カジメロ&ピアノ&フラ」(コハラカンパニー)
-ブリさん、カリコさんにおたずねしますが、ハーラウはあなたにとってどのような場所ですか?
Bully:家族のもとへ帰るという感じです。
Halauとは、文字の意味では「学校」で、Hula Halauとは「踊りの学校」ということになり、私たちもたくさんのHula Halauを見てきていますが、そのほとんどがダンススクールなのです。でも、先ほども言った様に、このハーラウは、皆が兄弟であり、年上の人たちは僕の世話をしてくれ、同じように僕は、年下の人たちの面倒をみています。
また、クムは、私の親のような存在で、いつでも心を開いていてくれ、何か問題がおこれば、
電話したり、家に行ったりします。クムがいなくても、家の入り方も知っています(笑)。
だから、僕たちはいつでもクムの家へ行けるんです(笑)。
Kaliko:「Ohana(家族)」ですね。僕がハーラウに入った時は、僕は下から2番目でした。
目上の人を本当の兄のように敬うことを学び、彼らは僕の成長を助けてくれました。
それから数年たって、今度は自分が新しい子達に彼らからしてもらった事を伝えていく番と
なりました。こうやってハーラウは続いているのです。
「メリーモナークはたくさんの事が変わってしまった・・・」
-メリーモナークで2年前に総合優勝されましたが、お二人にとってはどのような経験となりましたか?また、どのような感想を持ちましたか?
Bully:大会前は本当に厳しい練習で、フラに集中しなければなりませんでした。でも、大会後は、最高でした! 本当に最高でした!なぜならば、僕たちは、クムが教えてきてくれたものを表現しなければなりません。それを皆に披露し、そして、それを皆が気に入って評価してくれたということですからね。それは最高に素晴らしいことです。
Kaliko:私にとっては、はじめから終わりまでの全ての過程がとても大事でした。
クムは、次々とこれまでと違う新しいものを造り出していました。クムが造るものと自分自身のフラへの関わり方の過程で、僕は皆との一体感を感じることができました。
山超え谷超え、時には大変な時ももちろんあって、そういう過程を乗り越えたところに受賞がありました。
Robert:(待ちきれない様子で) OK!今度は私の番だよ!
メリーモナークはとてもとても難しいものだったと思います。前回メリーモナークに参加したのは、何年も前のことでした。確か、19、、
Robert:メリーモナークはたくさんの事が変わってしまいました。長年私が教えていることは、
フラは、全て「心」からでるものということです。心の中で感じているものがでるのです。
だから、それを人々に与える前に自分自身で、今やっていることに満足感がなければいけません。
でも、現在のメリーモナークは、皆の動きが同じ様に見えないといけない場合があります。時には、皆そろって動きながら、なおかつ心から踊るという両方のことをやらなければいけません。 これまでずっと大会を見てきたわけですが、私はそういう傾向があまり好きではありませんでした。なぜなら、皆が「マシーン」に見えてしまってしかたなかったのです。
(鋭い口調で)「皆、こっちに動いて! 皆、こっちを向いて!」っていう感じで、まるでマシーンのようであり、(柔らかい口調で)「さぁ、皆、こっちに動いて。さぁ、こっちを向いて」というものではなかったのです。それが私は好きではありませんでした。
しかし、私もメリーモナークに出場すると決めたなら、揃った動きのものにしなければいけないと考えました。そして、動きが揃っているということ以上に、心がどれだけ大事かを示し、それを感じてもらえるようにしなければいけないとも思ったのです。
また、私の先生に尊敬の念を表わさなければいけないとも思いました。 先生の先生に対して、先生の先生の先生に対して、更には、そのまた先生の先生の先生に対してにもです。というのも、メリーモナークに出場するということは、私一人だけのことではないのです。私の後ろにはたくさんの先生がいたのです。そのことは、私にとってとても重要なのです。
メリーモナークに出場するのは本当に大変なことでした。また次回出場する時のことは本当は考えたくないです。もし今後出場しないとなれば、何も心配する必要はありませんが、私たちはまた出場するでしょう。というのも、若い世代の人たちがどんどん入ってきます。彼らはメリーモナークがどういうものか知る必要があるからです。
最近は「マシーン、マシーン、マシーン、ロボット、ロボット」という傾向が多く見られますが、そうではなくてフラに宿っている美というものがあることを知って欲しいからです。その美というものがあることを見せていくことの素晴らしさも知って欲しいのです。また、それを人々も見たがっているはずです。皆、マシーンのようなフラは見たくないはずです。(ここでゆったりと体を動かす)こういう踊りを、皆(日本語で)「キレイ」「スバラシイ」「スゴイデスネ」というはずです。
もし今度、ナー・カマレイがメリーモナークに出場することになったら、人々は、私たちがどこか「スペシャル」であることを期待するでしょう。私たちは、他の人たちと同じではいけないのです。「スペシャル」でないといけないのです。
「スペシャル」になるために私が知っている唯一のことは、「心」からでるものを大切にすることです。そのことは、私のクムに感謝を伝えることでもあり、私の両親や祖父母、私の生徒達とその生徒達のご両親や家族に感謝を伝えることでもあります。
私たちのハーラウは、毎週日曜日にしかレッスンがありません。その週1回の時は、彼らのファミリーや子ども達のこと、両親のこと、自分が抱えている問題や仕事のことも全て置いて、皆ハーラウにやってくるのです。これは相当な努力と、相当なAlohaがないとできないことです。私は、そのことにいつもとても感謝します。
メリーモナークに関しては、私は、テレビで観ている方がいいです。誰かの家で、ビール片手にね(笑)。
Bully:そうですね。私もそう思います。
Robert:メリーモナークに出場してたら、お酒は飲めないし。
Bully:観る事もできません。
Robert:そう、他の人を観る事もできないし、大会が終われば飲めますが、それも数時間だけですからね。すぐに私たちはホノルルに戻らないといけないので。だから、テレビで観ている方が断然楽しいんです(笑)。
-ハーラウ・ナー・カマレイが総合優勝した次の年に、教え子であるマイケルさん達のハーラウ(ハーラウ・イ・カ・ヴェキウ)が優勝しましたね。指導者としての感想を教えてください。
Robert:もちろんとても嬉しかったです!私たち皆で喜びました。
-仲間としていかがでしたか?
Bully:とても嬉しかったです。マイケルとヴィトは、私たちのフラ仲間ですから。私は彼らと長い事一緒に踊っていて、本当の兄弟のようでしたから、余計に嬉しかったです。
「HULAとは学んだことを私たちが踊りで皆さんに通訳していくもの」
-ブリさんとカリコさんは長い間踊り続けてらっしゃいますが、踊ることはご自身にとってどのような意味がありますか? 難しい質問でしょうか?!
Bully:いや、とても簡単ですよ!フラは、私たちが生きている全ての証を表わすハワイアンの踊りです。それは、平和であり、愛であり、味覚、触覚であったりします。私がどう感じているかを表現するものです。踊りによる通訳です。
Kaliko:フラは、過去を語ってくれるものであり、また現在を語っているものでもあります。クムは、私たちがやってきたことを曲に書いているんです。だから、私たちは踊り続け、存続させていくのです。
Bully:今僕たちが答えたのは、「Hula」という文字上での解釈であって、僕たちにとっての「Hula」というのは全く違う意味になってくるんです。
Hulaというのは、普段僕たちが経験できないものを経験できるものであって、それは私たちの祖先について、環境、私たちの住む土地についてという様々なことに注意を払うことであり、文化活動であり、神や女神など、ハワイの歴史からたくさんの物語を学ぶのです。学んだことを私たちが踊りで皆さんに通訳していくものだと思うのです。
-お二人は、来日する機会も多いと思いますが、日本で踊る時とハワイで踊る時と伝えたいことが違ったりしますか?
Bully:何も違わないですね。同じです。ただ、踊り終わった後、違う食べ物を食べますが(笑)。
-では、観客の違いは感じますか?
Bully:それはありますね。やはり言葉の違いがありますから。恐らく日本の方は、私たちが踊っている内容全てを理解するのは難しいのではないかと思います。
ハワイでは、皆フラに慣れ親しんでおり、昔の思い出が甦ったりして盛り上がります。
一方日本の方々は、曲についての深い意味など、知らないこともあるのではないでしょうか。
-それでも、日本人はフラが好きなんですよね。
Bully:そうなんですよね。日本の方はとても受容力がありますよね。これも平和という形だと思います。
-日本人も、たとえ言葉や歌の内容全てを理解できなくても、何かを感じているということでしょうね?
Bully:その通りだと思います。
-お二人の将来のフラダンサーとしての展望はいかがですか?
Kaliko:踊り続けることですね(笑)もう踊れないってなるまで踊ります。
-フラは生活の一部ということでしょうか?
Bully& Kaliko:その通りです!
-いずれはクムフラになりたいといった希望はないのでしょうか?
Kaliko:ないですね。
Bully:クムになりたいという願望は全くないですね。やる事が多すぎますから(笑)。
私はあくまでもダンサーです。踊ることが大好きなんです。教えることは素晴らしいことだと思いますが、教える立場になることによって、踊れなくなるというのがいやなんです。私は、踊っていたいんです。
Robert:ブリは、昨年ウニキを受けたんですよ。5人の生徒がダンサーとしてウニキを受けたのですが、彼もその一人になります。
-ブリさんは以前ビーチバレーボール選手になりたいとおしゃっていましたが(笑)。
Bully:それは単なる趣味です(笑)。
「e hea ka waiwai」
-ロバートさんにおたずねします、ハーラウの今後の展望は?
Robert:個人的には、まず教え続けていくことを考えています。今、生徒の息子達が新しい生徒として入ってきて、とても嬉しく思っています。
ハーラウに関しては、このまま世界中で踊り続けるのもいいと思っています。 また、ハーラウは常に、生徒達がやりたいことを何でもいいので、それをサポートできるシステムを築きたいと思っているんです。
私の考えとしては、ハーラウの生徒皆が先生になる必要はないと思います。古代の考え方では、私たちは生まれた時にすでにその子が将来何なるかわかっていました。昔は、そうした子どもに宿ったサインを見ることができたのです。 全員がクムフラとして生まれてきたわけではありません。また、全員がビーチバレーボール選手として生まれてきたわけではありません(笑)、ある人はそうした才能をもって生まれてきているわけですが、全員ではありません。なので、私が生徒達に知っていて欲しいのは、フラを学ぶということで、全員がウニキを受ける必要もありません。
現在、ハワイではもちろんのこと、世界各国でフラが人気となっています。そして、多くの人が、「Uniki」という言葉を使い、それがとても重要なものように見せています。例えば、「あの人が今ウニキを受けているよ」だとか、「あの人は来週ウニキを受けるんだって」なんて言っている人たちがいますが、「だから何?!」と言いたいのです。
ハワイ語でe hea ka waiwai という 「その価値、重要性は何処に?」というのがありますが、昨今では、誰もかれもが「クムフラ」と言ってしまっています。「なぜ?!」と言いたくなります。これはある教訓なんだと思います。どうしてある日本の女性が、私のところにきて、「私、ウニキを受けて無事卒業しました」なんて言えるのだろうか?私はハワイ出身で、私もウニキを受けましたが、それは500年以上、約1000年近くも前から伝わっている儀式なのです。
彼女はなぜ「私はクムフラです。ウニキをちゃんと卒業しましたから」と単なる紙切れの卒業証書だけで言えるのかと言いたくなります。これを理解するにはコンピューターなど必要ありません。 私にとって、この様なことは、全くもってナンセンスなのです。
あなたはなぜフラを教えているのか?あなたはハワイの文化を継承しているつもりなのか?あなたは、私が持っていないような大きな家を建てるほどのお金儲けをしているんじゃないのか? あなたはハワイに引っ越したいのか?日本に行きたいのか?アルゼンチンにでも行きたいのか?なんのためにやっているんでしょうか?!
逆説的に言えば、その様な現実があるからこそ、私たちのハーラウは存在するのです。
私たちの文化を守っていっているんです。
ハーラウというのは、先生のお友達がダンスを習うクラスというものではありません。
ハワイのハーラウというのは、文化を守るものなのです。
人生の生き方なんです。仕事ではないのです。
(テーブルを叩きながら)私たちにとって、人生の行き方なのです!
だからといって、私にどうにかしろとは言わないで欲しい。
私は彼女らに指示をする立場ではないからです。
でもあえて私は、彼女らに教えるなと言いたい。
なぜなら彼女らは全くもってなってないからです。
フラというのは、ハワイの文化を守るために、皆始めるのです。
また、ハワイアンミュージシャンについても、ハワイアンが全員ミュージシャンになる必要もなく、またミュージシャンは苦労するものです。私たちは、決してお金持ちになりたくてやっているわけではありません。苦労をわかってやっているのです。おいしい食事とコンサート会場を提供してもらえるだけで、とても幸運なことなのです。音楽も同じように文化を守るためにあるのです。また、自分が一体誰であるかというプライドを呼び起こさせるものなのです。それが一番重要なことなのです。
「私は、ウニキを受けたのよ!」なんていうことは私にとってはどうでもいいことです。もし私に、自分がクムフラだと言ってくる人がいたら、「あなたのクムは誰ですか?」「クムのクムは?クムのクムのクムは誰ですか?」「あなたのアウマクアは何ですか?」「Kinola'a について何を知っていますか? what is the important kinola'a to put into koa」などと尋ねるでしょう。それらに答えられたら、「私はクムフラです」って言ってもらって構いません。
そうでないなら…(頭を下げながら)mahalo nui.
「ドウシテ?が重要」
-だんだん質問がしずらくなってきましたが(笑)、今度はお二人にお聞きします。日本のハーラウについてはどう思いますか?
Bully:たくさんある!って思います(笑)かなりたくさんありますよね!
しかも、大きいですよね。踊りに関しては、とても素晴らしいダンサーもたくさん見ます。
ただ、男性ダンサーはあまり見かけないですね。とにかく、今まで見てきて、踊りは上手い人はたくさんいると思います。(他に言うことを考えるが思いつかないようで)そうですね、踊りは上手いです。
Kaliko:フラに興味を持ち、習うというのは、すごくいい事だと思います。
確かに、男性ダンサーは数が少ないですよね。
ほとんどが女性ダンサーばかりのハーラウですよね。
Robert:私の番ですね。私もたくさんのハーラウを見かけますが・・・、本当のことを言うと、
私は、「ハーラウ」とは言いたくありません。私にしてみれば「学校」と呼ぶのが妥当だと
思います。なぜなら「Halau」はハワイ語だからです。
言い直しますが、私はたくさんの「学校」を見てきて、たくさんのダンサーを見て、たくさんの上手なダンサーを見てきました。また、単に衣装を着て、お花をつけて、ステージにあがっている人たちもたくさん見ました。その中には良い学校もあります。
ハワイにも、日本と同じようにたくさんの「学校」があり、中には上手なダンサーもいれば、ただお花をつけて、衣装を着ているという人もいます。
もし本当にハーラウをやりたいのなら、「なぜ」やるのかを考え、決めなければいけません。
なぜフラを踊りたいのか?なぜ?そこを問いながらでないといけません。
Bully:その通りです。
Robert:(日本語で)ドウシテ?が重要なのです。
-もう一度お二人にお聞きしたいのですが、先ほどのお二人のお答を聞くと、日本人は、「技術は素晴らしいんだけどね・・・」という感じを受けたのですが、何が日本人に足りないのだと思いますか?
Bully:「心」ですね。私は日本の方々がフラをやることはとてもいい事だと思いますし、フラを好きでいてくれることも素晴らしいことだと思います。ただ、私たちがフラを踊るというのは、メレが何について歌われているのか全てをわかった上で踊っています。なぜそれができるかというと、私たちは、その土地に住み、ハワイアン文化の中で育っているからです。そこが日本人に足りないところだと思います。
Robert:カリフォルニアもそうだね。
Bully:テキサスもそうです。メレは、全てハワイでハワイのために創られたものですから。
その土地(ハワイ)に住まない限り、どうしてもちぐはぐなもの、足りないものがでてしまうと思います。メレが伝えようとしている全てを感じることができないからだと思うのです。
Robert:特にカヒコはね。
-厳しい話になりました(笑)話を変えさせてもらいますが、今年もパンパシフィック・フラ・エキシビジョンが東京、大阪で行われますが構想はすでにありますか?
Robert:あります。今年は9周年になりますが、オリジナルの構想としては、全て男性ハーラウでやりたいと思っていました。ただ、あるハーラウはすでに他の予定がはいっていて来日できないというのがわかったので、今回は男女両方のダンサーがいるハーラウを選考することにしました。
現在、3ハーラウが決まっていて、1つはホノルルのスノーバードのハーラウ。もう一つは、ホノルルのヴィッキー・ホルト・タカミネそして、L.Aの ケアリイ・サバロスです。また、ナー・カマレイは、女性ダンサーと踊る時はいつもロイヤル・ダンス・カンパニーと踊っていて、今回もそこと一緒に踊ります。今年は男女コンビネーションのショーとなります。
それと、ちょうど今考え始めたところなのですが…いや、それは違うね、正確にはすでに何をやるかはわかっているのですが、ただ、一応「今考え中」っていう言い方をしているんです(笑)。というのも、皆さんに、私たちがすでに準備万端だっていうのを知られたくないんです(笑)。
なので、今ここでアイディアを言ってしまって、この後考えが変わってしまうことになったら…。私は、ここにいるヒデと一緒に企画しているのですが、例えば、彼に、「私はトンカツをやろうと思っている」って伝えたら、彼は、「トンカツ」についてだけ考えます。それが、1ヶ月後また来た時、「やっぱりトンカツをやめて…」
Bully:ヤキトリ?!
Robert:「ヤキトリにするよ」って言ったら、「でも、トンカツって言ったよね?!」って言われてしまい、「確かにトンカツって言ったけれど、視野を広げてみてくれ!トンカツを忘れて、ヤキトリにしてくれ”」ってなり、それが本番1週間前になって、彼に電話し、「ヒデ、やっぱりスパゲティーにするよ!」って言い、彼はただ「OK… あなたを信じましょう…。」と言うしかないのです。
私たちがこの公演を続けていける理由は、ただ「信頼」しかないのです。あとは、彼は、ナー・カマレイの一員でもありますから、彼は「家族」の一員でもあるんです。だから、彼は私によくしておけば、皆が怒ることはないというのをわかっているんです(笑)。
-ヒデさんから何かありますか?
ヒデ:ロバートさんの言う通り、日本に来てもらうのがとても楽しみです。
お客さまには、観に来てもらった以上、絶対に退屈しないで帰っていただけると思います。 いつも出演者の顔ぶれが同じ、と言われがちなのですが、それでも必ず何かを持って帰ってもらえるショーになっていると思います。
-今日は、日本のフラについての問題点を含め、いろいろなお話しがでましたが、パンパシフィック・フラ・エキシビジョンで、本物のフラの神髄を観ることができるということでしょうか?
ヒデ:そうですね。その辺を見てもらいたいというのが僕の気持ちです。
本来のハワイの文化である「フラ」を観ていただきたい、純粋な気持ちで観てもらえたらとても嬉しいです。
Robert:パンパシフィックは、メリーモナークみたいなものです。
(慌てふためいた口調で)「今、誰が踊っているの?!」「OK、今度はインタビューをしなくちゃ!」(ギャーギャー騒がしい音をだす)「素敵な振り付けをしなくちゃ!」「あれには、あの花が必要よ!」なんて感じで、本当にとてもとても大変なのです。
Bully:本当にそんな感じなんです。(皆で大笑い)
-日本人と一緒にやるというのは難しくないですか?
Robert:いえ、ヒデとは楽です(笑)。
-Hideさんは、ハワイアンの感覚をわかっていますからね。
Robert:あとは、「ヒデ、私がクムだ!」って言えばすむからです(冗談)。
「"Highway Inn" "Zippy's" "Boulevard Saimin"がお薦め」
-長い時間おつきあいいただきましたが、恒例の最後の質問です。
ハワイお薦めのお店、場所等を教えてください。
Bully:たくさんあります!が、多分日本食レストラン以外ですね(笑)。ハワイアンフードだったら、Waipahuにある「Highway Inn」がおススメです。
Kaliko:私は、いつでも「Zippy's」をおススメします。
Robert:私は、教えることができませんね。もし教えたら皆さん行っちゃいますからね(笑)。
Bully:気をつけないとですね!(笑)
Robert:毎回紹介する度に、その後そのお店は混んでしまって、私たちが入れなくなってしまうんです(笑)。なので、そうですねぇ、それを踏まえておススメといったら、Kalihiにある 「Boulevard Saimin」ですかね。そこのハンバーガーステーキがおいしいですよ!
-今ハワイでは、ロバートさんが大好きな居酒屋がたくさんオープンしてますよね?!
Robert:(テーブルを叩きながら)ここ日本にあるようなおいしい居酒屋はありませんよ(笑)。私たちは、すっかり舌が贅沢になってしまいました(笑)。
Bully& Kaliko:本当にそうですね。
Robert:ハワイにも日本食のレストランや居酒屋がありますが、私たちは行かないですね。
なぜなら、料理がおいしくないからです。特に日本に来るときは、お寿司屋さんに行くのですが、「So オイシい!!!」、それでハワイに戻って、ハワイのお寿司屋さんに行ってみるのですが、あまりの味の違いに私は食べれません(笑)。
(眉間にしわをよせて、とても食べれないという顔をして)"Junk"。
-ありがとうございました!(笑)。 では、次に来日されるのは、パンパシフィック・フラ・エキシビジョンの時でしょうか?
Robert:今のところその予定です。
-とても楽しみにしています。
Robert&Bully&Kaliko:(日本語で)アリガトウゴザイマス。
-ありがとうございました!
(2008年4月)
通 訳:村田実紀
聞き手:Kaimanahila
協 力:コハラカンパニー
information
■パンパシフィックフラエキシビジョン(P.P.H.E 2008)「本物のハワイがやってくる」ーハワイの文化・伝統、そして未来を感じるー
【東京公演】
会場:昭和女子大学・人見記念講堂
日時:10月18日(土)、19日(日)
【大阪公演】
会場:NHK大阪ホール
日時:10月21日(火)
お問い合わせ・チケット:コハラカンパニーhttp://www.kohalacompany.com/

