消された英雄たちの記憶：第442連隊戦闘団の記録が削除

ハワイイが好きなら一度考えてみてほしい

3月に入り、ダニエル・ジェイムズ・ブラウン著の『遥かなる山に向かって』を読み始めた
600ページ近い本なので、まだ序盤戦といったところ
2022年にクリストファー賞を取った作品で
日米開戦により悲運に見舞われた在米日系人たちのノンフィクションだ
日系移民と第二次世界大戦などについて書かれた本としては最新刊ではないだろうか

米陸軍の日系人部隊・第442連隊戦闘団

これまでも、ハワイイの日系1世、2世について書かれた本は多くある
2世たちが米軍に入隊しアメリカ人として生きていく苦悩と葛藤も
数多くの書物、映像で語られている

ハワイイ好きとしては、日系移民の歴史、第二次世界大戦時の日系1世、2世について
押さえておかなければならない

そして、米陸軍の日系人部隊・第442連隊戦闘団についてもだ

僕の周りには、これらのことを詳しく研究されている方たちが多くいらっしゃる
少し学んだだけの僕だが
『アメリカ陸軍の公式ウェブサイトから記録が削除された』というニュースを伝えるために、この記事を書きたいて書きたい

最初に目にしたニュース・ソースは下記サイト
詳しく書かれていますので確認ください

Honolulu Civil Beat

Denby Fawcett: Army Wipes 442nd Combat Unit Off Website Amid DEI Purge The military removes a web page honoring the Hawaiʻi unit's World War II exploits and its thousands of Japanese-American soldiers.

米陸軍の公式サイトから記録が消えた

第442連隊戦闘団は、第二次世界大戦中に最も多くの勲章を受けた部隊の一つであり
その多くがハワイイ出身の日系２世で構成されていた
彼らは数々の戦闘で勇敢に戦い、多大な犠牲を払った
この部隊の歴史は、アメリカの多様性や人権の観点からも重要な意味を持っている

ハワイイの青い空の下で日本人移民である父母の苦労を目にしながら
アメリカ人として育った若者たちが
遠いヨーロッパの戦場で命を懸けてアメリカ兵として戦った
​
その歴史が、今、公式の記録から突然に姿を消した

米国陸軍の輝かしい歴史である442部隊

第二次世界大戦中、アメリカは敵国日本の血を引く自国民を疑いの目で見た
しかし、そんな中で彼らは「Go for Broke（当たって砕けろ）」の精神で志願し戦場へと赴いた
ハワイイ出身の彼らは、家族や仲間のため、そして何よりも自分たちの誇りのために戦った

彼らはヨーロッパ戦線で数々の戦功を挙げ、輝かしい戦歴を残した
特に1944年10月、フランスのヴォージュ山脈でドイツ軍に包囲され、孤立してしまった
アメリカ陸軍の第36歩兵師団に所属するテキサス大隊（1st Battalion, 141st Infantry Regiment）を助けた
「失われた大隊」の救出作戦では、211名を救うために400名を超える戦死・負傷者を出した

この戦いはアメリカ陸軍の歴史の中でも最も勇敢な戦いの一つとして記録されており
第442連隊戦闘団はこの功績によって数々の勲章を授与された
戦闘で多くの兵士が名誉勲章（Medal of Honor）、銀星章（Silver Star）、銅星章（Bronze Star）を受けている

「失われた大隊」の救出は、日系アメリカ人兵士がアメリカ合衆国への忠誠を証明し
戦時中に彼らが受けていた差別を跳ね返す象徴的な出来事となった
彼らの勇敢な行動により、戦後、日系アメリカ人に対する評価が高まり
最終的には1988年にアメリカ政府が日系人収容所政策を正式に謝罪するきっかけの一つとなった

これは反DEI政策の一環なのか？

第442連隊戦闘団の記録がアメリカ陸軍の公式ウェブサイトから削除されたとの報道があった ​

削除の理由について、アメリカ陸軍はデジタルコンテンツの刷新の一環であると説明している
​しかし、この削除は、トランプ政権下での多様性、平等、包括性（DEI）を促進するプログラムの
削除を目的とした動きの一部であるとの見方がある
この動きは、トランプ政権誕生後、各企業でも行われ始めている

歴史は未来の羅針盤、誰かのものではない

​この決定は、特にハワイイの日系人コミュニティに大きな衝撃を与え
ハワイイのコミュニティや歴史家からは強い反発が寄せられ
日系人コミュニティは深い悲しみと怒りを感じている

彼らの祖父母や親族が命を懸けて守った国が
その歴史を忘れ去ろうとしているのではないかという不安が広がっている

歴史は、僕たちがどこから来て、何を経験し、どこへ向かうのかを示す羅針盤である
その一部が欠けることで、未来への道筋も見失われてしまうかもしれない

第442連隊戦闘団の歴史は、単なる戦争の物語ではない
それは差別や偏見に立ち向かい、自らの存在意義を示した人々の物語である
​彼らの勇気と献身は、今もなお、僕たちに多くのことを教えてくれる
だからこそ、その記憶を守り続けることが、私たちの使命である

日本人でありハワイイ好きな僕にとっても
このことは、アメリカという他国の話ではなく
日本の歴史として、残し、伝えていく大切なことだと思う

たとえ、アメリカの公式記録から消えたとしても、彼らの物語は僕たちの心の中に生き続ける
​そして、その灯火を次の世代へと伝えていくことが、未来への希望を繋ぐ道であると信じている

歴史は誰かのものではないのだから